ローマ帝国の時代、労働をするのは奴隷であった。奴隷を働かせるのは、物の貸し借りと同じであった。奴隷には、権利は与えられておらず、物と同じだったのである。そこでは対価をもらって「もの」を貸すという契約(賃貸借契約)である。それから二千年近く経ち、ナポレオンにより興ったフランス帝国の時代。フランス民法典において、雇用契約に転用された。奴隷でない市民も、雇用契約により働くようになっていた。しかし、起源の名残りは残っている。
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フランス民法典では、雇用契約は、賃貸借契約と並んだ契約の一類型である。フランス民法典を引き継いだ日本の民法でも、賃貸借契約と雇用契約に関する規定には類似の部分が多い。両者は同根の契約なのである。雇用契約は、英語では、もともと「contractofservice」(役務提供契約)といわれていた。日本語の「サービス」と語感がかなり異なる。英語では「MasterandServantAct」だ。主人と従者の法である。どうも、雇用契約は、奴隷の呪縛から逃れきれていない。もちろん、今日、雇用契約を締結する労働者は、奴隷ではなく、自由人である。しかしいま働いている人は、本当に自由を享受しているといえるであろうか。